びーまかの活動記

これまでの大会の感想や気になったことを地道に投稿していきます。

JAIST2023入試ブログ

お久しぶりです。びーまかです。数年ぶりの更新ですね。 私はこの度3月に高専専攻科を卒業し、現在は北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の修士1年となっています。 甥っ子(5)からは「え、まだ勉強するの…?」と言われました。

JAISTは、他の大学と入試形式が少し異なります。 一般試験の場合、筆記試験はなく代わりに「本学入学後に取り組みたい研究課題について」というテーマで 小論文の提出・プレゼン資料による発表を行います(詳しくは学生募集要項を確認)。また高専専攻科生には、協定校対象推薦入学特別選抜という選択肢もあります(後述)。

私は一般受験を受けて合格したので、これから受験に挑む後輩に向けて備忘録を残します。

受験前にやったこと

受験前は、一般受験を受けた人のブログを大量に読みあさることで情報収集を行い、対策を立てました。 確実な情報では無いのですが、以下のような噂を集めました。

  • 研究に対する質問を特にされる
  • 面接官は専門外の先生もいるので、その人にも特にわかりやすいような内容にする
  • 英語の口頭試問はない(これはオープンキャンパスの際に先生から聞きました。昔はあったけど今はないそうです)
  • エントリーシートに書いた得意教科について口頭試問されることがある
  • 線形代数の基礎的な用語の定義について口頭試問されることがある(得意科目に数学科目を書くと、もう少し詳しく質問されるみたい?)

本来は、自身の担当教員と行きたい研究室の教員に小論文・プレゼン資料共に添削を受けるべきなのですが、私は非常にゆっくり出願準備をしたので十分に添削をお願いできませんでした。みなさnは私のような真似をしないようにしましょう。

準備がギリギリになったため、受験では付け焼刃の知識ではなく、自分が一番自信を持って語ることのできる学部自体の研究をベースに話そうと決めました。

完成したスライドについて

受験で使用したスライド資料は以下の通りです(一部改訂をしています)。

www.slideshare.net

意識したのは3点です。まず分かりやすく相手に伝わるよう、以下の様につながったストーリーを作り、専門用語には説明文を入れました。

  1. 今こういう研究をしている
  2. こういう問題が起きた
  3. なぜこの問題が起きたのか
  4. ではどのように解決するのか
  5. 解決方法の具体的な手法
  6. 評価方法
  7. まとめ

また電子情報通信学会によると、論文の査読基準は新規性・有効性・信頼性・了解性だと言われています。私の場合は「その研究っておもしろい?自明じゃない?やる意味あるの?」という頭の中の声と戦い、研究内容を「問題なく実現できること50%+成功するか分からない新しい試み50%」という構成になるよう意識しました。(実現性が多少薄れてでもおもしろさをアピールすることは重要なのでは?と個人的には思っています)

最後に、先人の合格体験記を参考にして、スライド末尾にまとめをいれました。質問でよく聞かれるらしい「先行研究との違い」「期待される成果」も項目に加えています。

※受験では、発表後に面接官から「非常に分かりやすい内容でした」とお褒めいただいたので、スライドの指針はよかったのかなと思います。

想定していた質問

受験で聞かれると思い練習していた質問一覧は以下の通りです。

通常の想定質問

  • 志望動機
  • どの研究室に行きたい?なぜそこを選んだの?
  • どうしてもこの学校・この研究室でなければならない理由は?
  • 受けてみたい授業は?その理由は?
  • 修士卒業後の進路は?
  • 学生時代に力を入れたことについて
  • 現在はどんな研究をしているの?
  • 逆行列固有値・対角化など線形代数の基礎となる用語の確認・導出の方法の復習
  • 嫌いな科目とその理由は?

発表スライドに関する質問

研究に関連する用語や情勢について答えられるよう意識しました。

  • なぜシステムの評価方法にt検定を選んだの?
  • なぜ質問語幹リストを採用したの?他にないの?
  • どのように質問リストを作るの?
  • 研究室の先生と研究内容について話し合った?
  • 先行研究の論文はどの程度読み込みましたか?
  • このアプローチはどこで思いついたの?
  • なぜ先行研究ではあなたの提案手法が使われていなかったの?
  • この研究の難しい点はなに?
  • この研究の対象年齢は?
  • アクティブラーニングとは?プログラミング的思考とは?協調学習とは?
  • 現在の小学校のプログラミング教育の目的とは?

質問されたこととその回答

実際に受験で聞かれた内容は以下の通りです。研究に対する質問が多く、学部でコツコツ調べものをしていてよかったと思いました。

  • そもそも小学校のペアプログラミング教育のイメージがないのだが、どういう実態なの?
  • あなたは現在、教育系を専攻している学生なの?
  • この研究の新規性は?
  • 質問語幹リストについての新規性や、工夫しようと思っている点はある?
  • 小学校ならではの工夫している点はある?
  • 具体的な提示法だと、片方だけ学習しちゃって成果にならないんじゃない?
  • 研究に関連して受けたい授業とかある?
  • 何でペアプログラミングをえらんだの?
  • これまで学校でどのような数学の授業を習っていましたか?
  • 線形代数逆行列について説明して。
  • 英語を自己採点すると何点だと思う?
  • このプレゼンを作るにあたり、英語の論文を読んだ?
  • (得意科目について)どんな授業なの?プログラムを実際に何行くらい書いたの?

入試結果

無事に合格しました。

協定校対象推薦入学特別選抜

JAISTでは高専と推薦入学協定を結んでおり、特別選抜を受けることができます。特別選抜では書類審査・行きたい研究室の先生との面談を経て推薦を出すことができるそうです。高専から行きたいと考えている学生は、このアドバンテージを活かして一般受験の前に特別選抜を受けることをお勧めします。

私も本当は受けようと思っていたのですが、締切を勘違いしており受けられませんでした(HPには出願締切が12月初めと書いていたのですが、出願前の面談申請などを10月末までに受けないといけませんでした)。

皆さんは私を反面教師にして、周りの人とよく相談し、要項も熟読してから受験することをお勧めします。 この記録が、私の後輩となる学生の一助になることを願います。

おまけ

先週から石川に越しました。4月なのに桜が咲いていて感動しました。校舎きれいだけど広くて迷子になる